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ぴ、、、
ぴ、、、
ぴ、、、
遠くに聞こえた電子音に目を開けると、そこには俺を覗き込む親族の姿。
「あ……俺、戻ったのか…」
「なに、のんきなことっ…いってっ……!」
目の前で母親がボロボロ泣いているのを見ると途端に申し訳ないという気持ちが湧いた。
「泣くなよ、母さん……ワクチン、貰ってきたから。これで皆助けられる」
親族に混ざって病室にいた男達が、俺の手から薬の束を受け取る。
「ありがとう!本当にありがとう!これで助けられる!!」
「おい!早くラボにまわせ!」
バタバタと走っていく人達を見送ると、やっと肩の荷が降りた。
「あっちは、どんな様子だったの?」
「ん。今とそんなに変わってなかった。……ただ、俺の孫は俺に似て……いや、俺の数倍。賢かったよ」
「え? 孫?!」
「ははっ。現時点で同い年だったけどね。俺と瓜二つなの。マシンが壊れて一年足止めくったけど、あいつが直しててくれてさ。……正直俺だけの力じゃ、もう戻れなかったと思う……間に合って……ほんと良かった……」
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