自分

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教室の戸を開けたら、 そこには……自分の死体がぶら下がっていた。 「ひぃっ」   情けない悲鳴を上げて腰を抜かす。 早朝の、まだ誰も来ていない教室。 天窓の枠にネクタイを巻き付け、 スーツ姿でぶら下がっている身体。 だらりとした手足。 俯いた青白い顔。 朝日に照らされているその顔は ……間違いなく、俺。 「な、なんで……」   恐る恐るふれてみたが、どうも偽物ではない。 ……本物、だ。 「ふ、双子の兄がいたとか? いやいや俺、一人っ子だし。 世間には似た顔の奴が三人いるっていうから そのひとり? でも、この手の甲の傷は間違いなく俺だし。 え?なんで? なんで俺、死んでるの? しかも首吊って」
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