第1章

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彼女の目が、本の中を走り回る。 繰り返し繰り返し、右上から徐々に左端へと。 僕の存在など、忘れたかのようだ。 僕はそんな彼女の真剣な眼差しをじっと見つめる。 あっという間に左下にたどり着くと、一瞬だけ止まったその目が再び右上へと戻った。 そろそろ声を掛けてみようか? 身じろぎもできず痺れきった体を揺すり、僕は渇いた口を開いた。
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