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「あ、神田クンが面接した人どんな人だった?」
「え、そうですね・・・少し恰幅がよくて、銀縁の眼鏡をかけていて、首元に大きな痣がありました。」
男は煙草の煙を宙にふかすと納得したように小さく、ああ・・・と思い出したように呟いた。
「その人社長だわ。」
「?!あの人がですか?」
「そうそう。ま、正確に言えば、社長の内の一人だな。」
「社長の内の一人?」
神田は目を丸くして頭をかしげる。
「直にわかるよ。」そう言って、男は携帯用灰皿で煙草を押し消した。
煙が名残惜しそうゆっくりと消えていく。
「俺は、篠原夏芽。警備課総指揮官。って言っても名ばかりで人手不足のここじゃ皆バラバラだから総指揮官なんて形だけだけどな。これからよろしくな。」
男は携帯用灰皿を懐にしまうと、右手を神田に差し出した。
「はい!こちらこそよろしくお願いします!!」
良かった。目付きは悪いし、ヘビースモーカーっぽいけどいい人そうだ。神田は差し出された右手を掴もうと自分の右手を出した。
が、神田が篠原の右手を掴むことはなかった。
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