第1章

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駄目だ。不安で胃が痛い。 電車に乗った神田はつり革に捕まって、少し背中を丸める。 会社まではたった四駅。そこから自転車で約ニ十分。 特急や急行などが止まらない駅で、駅からは少し遠い。 駅に着いて、昨日にうちに友人に頼んで車に積んでもらい、置いておいた自転車を駐輪場に取りに行く。 近所のサイクリングショップで買ったミニチャリはまだ新しく、太陽の光で銀のベルがキラキラと光っている。 緊張で自転車を漕いでいる足が重くなる。 しかし、初日から遅刻をするわけにはいかない。神田は自転車を漕ぐ足を速める。  駐輪場に自転車を止めて、しっかりと施錠する。 ここで自転車を取られてしまっては駅まで歩いて帰らなくてはならない。徒歩だと何分かかるんだろうか・・・。 ぼんやりと考えながら会社のあるビルへと入る。ジワリと汗をかいているのがわかった。
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