第1章

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「お・・おはようございます。今日から働かせていただく神田誠一と申します。」  男は煙草の火を携帯用灰皿で消すと、また煙草に火を点け始めた。 眠たそうに頭をガシガシとかいて、神田を見つめる。 いや、睨み付けると言った方が正しいのかもしれない。 神田が挨拶を済ませてからしばしの沈黙が流れる。 「・・・あの、どう「あっ!!!!」 男が突然大きな声を出したので神田は驚きのあまり後ろに後ずさりドアノブで思い切り腰を打った。 「ごめん、ごめん。ちょっと寝てた。」 男は顔の前で手をヒラヒラさせて謝る素振りをしてみせた。 「・・・え?いや、あの、完全に目開いてましたけども・・・。」 「人間さ、眠たければ目くらい開けて寝るよ。」 それ寝てるんじゃなくて意識飛ばしてるだけじゃないですか。と喉まで出かかったが言うのを止めた。なんなのだこの人は。 「昨日から徹夜で警備にあったてたからさ、そりゃもう寝不足で。仮眠したらまたすぐ仕事だけど。」
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