第1章

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翌朝、主人と息子の弁当を作り、部屋に息子を叩き起こしに行った。 「ほら、早く起きなさい!」 息子は寝ぼけ眼でちょっと面食らっていた。 「母ちゃん、今日は張り切ってんな。どうしたの?」 「どうもしないわよ。ほらほら、早く朝ごはん、食べちゃいなさい。」 そう言うと、パンパンと手を二回鳴らした。 息子と主人は半分ニヤニヤと笑いながら戸惑っていた。 「いってらっしゃーい。」 玄関で主人と息子を見送ると、びっくりして振りかえり、息子は気恥ずかしそうに、「お、おう!」と言い手を上げた。 さあさあ、忙しくなるよ、私。 今までの私とは一味違うよ。 強い風が木の葉を舞い上げ、道路の脇に置いてあったゴミが舞い上がった。よく見るとそれは白いTシャツで、縦書きにカタカナで「トマソン」と書いてあった。
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