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今日はなんだか忙しかったな……。
拓麻と同室の二段ベッド上部。
奨くんと雅の発作がダブルで来た今日は、拓のゲーム音がしていても頭がやたらと冴えて寝つけない。
ひつじさんでも数えてみようかな?
「リーダー? 寝れないんですか?」
普段よりごそごそとベッドの上を動いていたら、拓の声が真下から聞こえてきた。
「う~ん、眠れない」
頭がさえちゃってさ~。
そう答えると、リーダーの頭が冴えてるなんて珍しい。なんて言われた。
「眠れないなら少し話しましょうか?」
そうだ!
奨さんに初めて会った時のこと聞かせてくださいよ。
会話中もゲーム音がしていたのに、パタンとゲームを閉じる音がした。
「うん。いいよ」
おいらは見慣れた薄暗い天井を眺めながら古い記憶の引き出しを開けて、奨くんに初めて会った日を思い出した。
「むか~しむかし、シリウスに春くんという素直で可愛くて元気の良い男の子がいました」
クスクスッ
拓の笑い声。
おいらは天井をスクリーン替わりに昔話を続けた。
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