【1】花井里美の事件

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 昨日会った時のようにきれいに髪を整え、顔もきりっとしている。身に着けているものは高そうな黒いスーツ。  なぜスーツなんだろうと訝しみ、首をかしげる。 「君、上出来だよ」 「何がですか?」 「出迎えから案内まで。これからコーヒーを淹れるんでしょ。初めての仕事とは思えないくらい完璧」 「そ、そうですか。ありがとうございます」  褒められたらそれは嬉しい。  私、褒められて伸びるタイプなのかもしれない。と、湖が新たな自分の可能性に顔を綻ばせた。 「このサンドイッチもどき以外は完璧。これ、サンドイッチでいいんだよね? べちゃべちゃしてるけど」  すごい笑顔で残りのサンドイッチを指さし、とんでもない一言を放った出雲大社の顔には何食わぬ笑み。ああ、今日もド快晴。雲一つない青空で清々しいくらい気分が晴れる。  そんな笑顔を見せつける出雲大社を軽く睨み、湖は拳を握りしめて怒る気持ちをぐっとこらえた。
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