【2】高校生のお悩み、解決します

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「もしかして、本野裕子を殺したのはあなたなんですか?」 「あ? この二人を殺したあの姉ちゃんそういう名前か? 初めて知ったなあ。この兄ちゃんのことを殺して血を飲んでるサイコ野郎が目の前にいたら迷わず殺すだろう? だろう? だから後ろからめった刺しにしてやった。そのあとヤッた。さすがに高校生はいいな。興奮したぜ。へへ。で、何回も何回も何回もヤッたあとで、体が冷たく固くなってきたからよお、最後に思い残すことなくヤリまくって、この二人の隣に埋めてやったんだよ。姉ちゃん掘り返してただろう? 三体埋まってただろうが」  こいつ、危ない。と気づいたのは少し遅かったか。なんでこんなことを自分からべらべらしゃべりまくるのかなんて言わずとも分かる。  殺す気だからだ。  死人に口なし。本野裕子と同じ目にあわされるんだ。  死んでからやられる。この気持ち悪い男のおもちゃにされる。  考えただけで吐きそうだった。 「なんだよ。あの姉ちゃんが出てきてくれりゃあよ、あの時どんな気持ちだったか聞けたのに。気持ちよかったかってな」 「最低!」  怒鳴っていた。 「まあ、そんな顔すんなや。お前も同じように可愛がってやるから」  舌舐めずりし、おもむろにポケットから手を出せば、そこに握られているのはサバイバルナイフ。 「俺は血を飲む趣味はねえ。安心しな」  全身、頭のてっぺん、髪の毛のさきまで悪寒が走った。 ダメだ。逃げるしかない。じゃないとこいつに殺される。今度は私が走る番だ。 「お、逃げるか? 追っかけっこするか? いいぜ。そのかわり捕まったらおとなしくしてろよ。けど、あの姉ちゃんの死体はどこにあんだよ。なんであの姉ちゃんだけ出てこねえんだ」 「そんなの知らない!」  高宮……もとい、本野はすでにこの男によって殺されていて、死体は高宮と藤巻と一緒に埋めたと言っている。どこに眠っているんだろう。あれから一切の気配を感じない。  この男のにたら笑む顔に思い切り爪を立ててやりたい衝動に駆られるがここはひとまず逃げることが優先だ。自分の命を守ることが先決だ。
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