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高宮君だと思っていた人は実は本野裕子っていう人だった。成りすましていたんだねえ。いやまいった。さすがの僕もそこまでは見破れなかったよ。あはは。本野裕子は最後に殺した藤巻君の死体にむさぼりついている時にあの男に後ろから殺された。で、本人も知らないうちに殺されたから、自分で死んだってことに気付かないでいたわけだ。
自分では死体を隠した覚えがないのに気づいたら忽然と死体が無くなっていた。不思議と思って調べても答えにはたどり着けない。自分が死んでるからね。そこで、生前に僕のことを聞いていたんだろう。恐怖を抱えた霊体はいろいろな角度から力が加わり幻の体を得た。元は霊体なんだから黒猫が見えるのも当たり前だよね。探し出すのは簡単だった。
「どういうことですか(というか、それは私の聞いたことに対する返答じゃないような)」
「話の腰を折らないで最後まで聞きたまえ」
「……すみません」
「で、死体はどこかにダレカが隠したとしても、電話が見つかれば自分がやったことがばれてしまう。だってそうだろ、嘘の写真を見せて好きな人の相談をしたいってメールを送ってるんだ。それに彼女の嫌がらせメールだって残っている。最後のメールがそれだろうからね。それに、藤巻君が高宮君をつけていたんだから、メッセージや何かを送られていたらやばい。それにGPSだって作動してたらそれも誤魔化さないとならない。疑われるのは自分になる。しかし、電話さえなくなればあとはどうにでもなる。そうしたら死体が見つかっても自分が捕まることは無い。そう考えた。しかし、当の自分がおかしいことにも気づき始めていた。そして僕に会ったときにそれは確実なものになったはずだ。自分の後ろにいるナニカと僕が話してるんだから。きっと怖くて振り向けなかったと思うよ。だから目を見開いてじっと固まってたんだ。だから、自分が死んだ高宮だと名乗れば僕たちが死体のありかを探し出してみつけてくれると考えた。最終的に僕たちも殺す気満々だった。あらかたこのくらいの薄っぺらい考えだったんじゃないかな」
「……」
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