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「え。今のところは『どうしてですか』って聞くところじゃないのかい?」
「……ぇぇぇぇぇえええ、だって話を遮るなって言ったの出雲さんじゃないですか」
「君はほんとあれだね。今のはわざと僕が間を空けてあげたんじゃないか」
「そんなの分かりませんよ。で、なんでですか」
聞かないと聞かないで面倒くさいので投げやりに聞いてみた。
「それはね、僕が過去に本野裕子の自宅へ行ったことがあるからだよ。本野裕子が僕らを案内した家があったでしょう? あそこ、高宮君の家じゃなくて、本野裕子の家だったんだよ」
「えー。だって高宮さんの家って言ってましたよね。てか依頼されたことがあるなら名前が違うって分かったはずですよね」
「君ね、この僕が赤の他人の名前をいちいち覚えるとでも思っているのかい? 忘れていたよすっかりね」
そんなこと自身満々に言われましても困るってっもので、仕事の依頼を受けた人の名前なんていちいち覚えてられないし、覚える必要なんてないでしょ? と、自分の考えは間違っていません的に胸張って言われた。ついでに、高宮が弾き飛ばされたのを見て、はたとこの家のこと思い出したそうだ。
二人の電話も処分しなければならないが、己の電話だって処分しなければならないことに気がついたんだ。
「最後の霊力を振り絞ってあの高校生二人は証拠の電話を袋に入れて木の上にあげたんだ。あっぱれだね」
「ありえないことがおこるものなんですね」
「ふふん。だからおもしろいんじゃないか」
出雲大社はお洒落に鼻をツンと上にあげた。湖は二重アゴをこしらえて口をへの字に結んだ。
「まあ、君はともかく彼女に殺されるような僕じゃないけどね」
「私は死んでもいいってことですか。ひどい。うー、でも聞きたいことがあります。本野裕子さんの親御さんはなんで自宅を引き払ったんでしょうか」
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