【2】高校生のお悩み、解決します

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「簡単。彼女の内に秘めていた変質的なものに気付いていたんだろう。子供のころから奇行があったそうだから。だから彼女が行方不明になった瞬間、彼女はもうこの世にはいないと悟った。そんな感じだったよあの家をまとめた時。だから家に結界を張って、何人たりとも中に入って来られないようにしてほしいと言ったんだ。入って来れなければ彼女の性格上入れるまでここに居続けるのを知っている。で、新しく越した自分たちのところには来ないだろうともね」 「なんだか切ない話ですね」 「ほらまた自分の物差しで見てる。そう思うのは君が彼女を憐れんでいるからだよ。でもその彼女はそんなこと思われるのも心外だって思ってるかもしれない。殺すのが趣味だった人なんだから」 「出雲」  警察官の中の一人が声をかけてきた。  出雲大社を『出雲』と呼ぶ辺り、これが初めての出会いではないと思わせる。  出雲大社も『どうも』と軽く手なんかあげている。 「君がいると事件の解決が早いよ。表だって発表できればいいのに」 「ははは、心にもないことを」 「君、雇うの高いからさあ。あれ? 新しいパートナー?」 「ただのアシスタントです」 「そう。でも、なかなか息があってるんじゃない?」 「ご持参いただけたんですか」 「相変わらずつれないねえ。それが君のスタイルか。これ、約束のものね。また頼むよ」 「どうも」  手渡された茶封筒はけっこうなふくらみを持っていた。かなり、ふっくらしていた。そして湖のことを『新しいパートナー』と言った。そういえば、初日にも、「以前いた人は辞めてしまった」ということをもらしていたっけ。一体どんな人だったんだろう。 『僕が無償で動くとでも思っているのかい』  出雲大社の言葉が湖の頭の中に蘇る。茶封筒は出雲大社の胸元に飲み込まれていった。
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