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田舎町のバス停にある待合室。
そこで私は、本を読みながら、時間がくるのを待っていた。
田舎だから、終バスの時間も早くて19時初のが終バス。
だから、20時には、
誰もここに来なくなる。
そんな時間に、私はいつも、ある人と待ち合わせている。
バス停前の電灯が灯るのが私達の合図。
B「霞ちゃん会いたかった」
ふわりと笑みを浮かべながら私の前に立つ人こそ、私の待ち人であり、愛しい人。
私に抱きつく彼は、電灯の光を浴びて、透き通って見える。
私と彼の会う時間が限られる理由。
それは、彼が“幽霊”だから。
A「陸さん。
私もです。愛してます、陸さん」
私達は決して触れ合うことのないキスを交わす。
B「ねぇ、霞ちゃん。
こっちに来てよ」
いつも私はこの誘いを断ってきたけれど、今日は違う。
A「はい。私を連れて行ってください」
その日、私は彼と共に消えた。
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