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「だ、大輝……?」
見ると、少し離れた松の木の下に大輝がいて、私の名前を呼んで現れたかと思うと、ダダダッとこっちに向かって走ってくる。
「いくら尊敬する橋本課長でも寧々ちゃんをそんな背徳の道へ誘惑することは絶対にこの俺が阻止します―…っ!!」
なんて、言葉を懸命な顔で叫びながら。
「は……っ……??」
って私が口にした瞬間には、もうこっちまで来ていて、我を忘れたかの様にそのまま橋本課長に突進―…っ……
嘘っ?体当たりするつもり??
私、思わず両手を顔に当てて焦ったけど、橋本課長はそんな大輝をヒラリとすんなりかわしてしまって―…
ボチャン―…ッ……!!
静かな夜の庭園に鯉が跳ねるよりもずっと大きな音が響いた。
「だっ、大輝~…っ……!?」
勢いよく橋本課長に突撃していった大輝だけど、かわされて一人だけ池におっこちちゃった……っ!!
「や、やだっ、大輝が沈んじゃうっ……!」
「高垣ちゃん、落ち着いて。ここ水深、宇佐見の膝上くらいだから」
「でもっ!人間、顔が浸かればおぼれちゃうんですっ!!」
「大丈夫。宇佐見、もう上がってきたから。ずぶ濡れだけど」
橋本課長の襟をつかんで、ぐわんぐわんやっている内に大輝は無事に池から脱出したみたい。
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