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「大輝っ、大丈夫っ!?」
髪までびしょ濡れになった大輝に慌てて駆け寄る。
「寧々ちゃん……俺の事なら心配しないで―…それより橋本課長……!どういう事ですかっ!?こんなに純粋で清らかな寧々ちゃんを不貞の道に導こうとするなんて……!」
「駄目なのか?」
「当たり前ですよ!橋本課長でさえ、寧々ちゃんの魅力に奪われてしまった気持ちは理解できますっ!でも、妻帯者である課長が寧々ちゃんを幸せに出来るんですかっ!?そんな天秤にかけるような真似許せませんっ!!」
「お前だって柴崎ちゃんと天秤かけようって思ってるんじゃないのか?」
「断じてありませんっ!」
「でも、告られたんだろ?」
「それはキッパリと断ってきました!俺が愛してやまないのは高垣寧々、ただ一人だけですっ!!」
濡れた身体も気にせず、橋本課長を真っ直ぐに見て強く言い切る大輝。
そんな真剣な大輝に橋本課長は―…
「っ、あははっ……!」
噴き出して、笑い出してる……
「は、橋本課長―…?」
「池から這い上がってきて彼女への愛を叫ぶ。相思相愛。結構な事じゃないか。ただな、濡れた身体に夜風は冷たいぞ?せっかく温泉地に来ているんだから、仲良く二人で温まることだな」
「え……寧々ちゃんを巡る対決は―…」
「身体張ったお前の勝ちだ。じゃ、俺は先に部屋に戻ってるぞ」
ごゆっくり、
橋本課長はそう私達に言うと、愉快そうに歩いて行ってしまった。
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