寂れた裏庭

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もういいや 諦めて、何も気にならないように、豪快にお弁当の中身を口に放り込む。 ばくばくばくばくばくと。 それを見て、今度は本格的に男が、笑い出す。 「おまえ、ホント面白いな。」 「…。」 おまえって、 面白いって。 ペットか!?私は!! 休憩時間なんて、実際はホントに短いんだから。 さっさとお弁当を食べて、仕舞う。 「吸う?」 タイミング良く前の男が、内ポケットからタバコを出しながら、聞いてくる。 「うん。」 一本抜き取ると、火をつけてくれ、そのまま軽く吸って、吐き出す。 タバコのあまり好きでない佳梛も、食後の一服だけは、美味しいと思う。 「美味そうだな、 好きなのか? タバコ。」 「…。」 何故この男は私に話しかけてくるの。 自分のタバコにも火をつけながら目で答えを促す。 佳梛は小さく息を吐き出す。 「好きじゃない。」 「そのわりに、随分慣れてるじゃないか?」 タバコを吸う仕草が板についてるっていいたいのか。 「吸ってりゃ、嫌でも慣れるでしょ。」 「なんだそりゃ、 変な女。」 「…。」 ほっとけ。 時計を確認して立ち上がると、男は少し残念そうに佳梛を見上げた。 「もう行くのか?」 「そ。」 さっさとその場を離れようと思ったのに。 「まずいだろ!?」 「…?」 何が? 無言で、男に問い掛ける。 「俺は可愛いと思うけどね。」 はあ? (; ̄Д ̄)? 何を言ってるのかと、男を睨む。 と、堪らないとばかりに、また吹き出した。 大概、失礼な男!! 「お前ね、その顔でにらんでもね…。」 「だから、何を言ってるの!」 「ココ。」 笑いの止まらない口調で、男は自分の片頬をトントンと指す。 …? 同じように佳梛も自分の頬を指で触れると、ご飯粒がポロっと落ちる。 げっ(゜〇゜;) いつから? ずっとこのままだった? どうしてもっと早く言ってくれないかな。 「そう睨むなって。 可愛いから、言いそびれたんだって。」 可愛いって言えば何でも許される訳じゃないっっ。 (`Δ´)💢💢💨 憤然とその場を離れた。 笑いを含んだ声が、背中から追いかけてくる。 「明日も来いよ。」
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