7人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁ?兄貴何言ってんの?俺だよ。弟の慎(まこと)だって!」
兄貴は冗談を言わない。
「慎・・・ですか?僕には弟なんていませんよ?」
兄貴は冗談を言えない。
「何言って・・・」
「掛け間違いでしょう。
では、失礼します。」
切られた電話は
虚しく電子音を鳴らすだけ。
たしかに俺は自宅にかけた。
たしかに兄貴が電話に出た。
今までと同じ電話帳機能を使って
今まで何度も何度もかけてきた自宅に
電話したはずだろ・・・?
握りしめた携帯は
圏外
もう繋がらない。
今までの場所に
俺の存在はもうない。
最初のコメントを投稿しよう!