ハチミツとクローバーのセリフ

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ハチミツとクローバーにこんなセリフがある。 「努力する」か「諦める」か、どっちかしかないよ。 人間に選べる道なんて、いつだってこの2つしかないんだよ。 僕はこの時、ひとつ嘘をついた。3つあったんだ、選択肢は。本当は。 でも、2つしかないと信じていた方が道はひらけるから、3つめの答えを僕は口にしない。 花本先生が言った言葉で、この作品のなかでもっとも印象的なものの一つだと思う。 確か中学生くらいのときに見た作品だと思うのだけれど、三つ目は何なのか、当時の私にはわからなかった。大学で周りを見ていて、そして私自身もこの世界を体感してきて最近わかったような気がする。 建築に限らないけれど、人には事柄に対して向き不向きがあって、才能の有無がある。それと平行してそれが好きかどうかということがある。花本先生の言葉は才能がなくて、ただ単にそれが好きという人に向けられた言葉であるように思える。そういう人は壁にぶつかった時、努力するか、諦めるかの選択を迫られることになるというわけだ。そこで三つ目の答えなのだけれど、おそらくそれは「努力もしなければ、諦めることもしない」というものなのではないだろうか。何となくその傍らに漂うというか、付かず離れずというか、そういう曖昧な状態を続けることなんだろうと思う。
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