捜査開始

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これからの調査は、聞き込みと、司法解剖による死亡推定時刻より判断することになる。 死亡推定時刻並びに、聞き込み調査の結果は、以下の通りである。 死亡推定時刻:本日0時から午前4時 索状痕以外の損傷は、確認されていない。 睡眠薬を使用した形跡はない。 胃の内容物は、昨晩の夕食と一致している。 少女は処女である。 少女の携帯電話の着信履歴にも不審な点はない。 殺人事件としての、物的証拠は無し。 関係者の証言は、特には目立たない子、個人的な問題はないように思った、社交性度は低め、勉強はできる、親身になっている交際は知らない、と、ごくごく一般的な学生であったと思われる。 女子学生の住む近所でも、聞き込みを行ったが、問題点は皆無だった。 少女の家から、ここまでの足取り情報も皆無。 最悪のケースを考え、生命保険についても調べたが、ごく一般的なものだけであった。 これでは、殺人事件と断定するのは難しい。 何も出てこないのである。 唯一、踏み台にした椅子に足跡がない、だけなのである。 ただ疑問点として、なぜこの教室で首を吊らせたのか、というふたつの問題だけである。 推測として、犯人は何らかの方法で少女を呼び出し、何らかの方法で被害者を眠らせ、教卓に乗せて、首吊り自殺に見せかけた。 ということしか分らない。 被害者を眠らせた、と考えたのは、抵抗した跡が見つからないことが理由である。 これから先の捜査方針として、更なる聞き込みと、少女の所持品の確認、被害者の命を奪ったロープの出所、ということになる。 すなわち、目撃者探しと、学友からの証言、被害者の持ち物、凶器、に、この事件の全てが集約されることになった。
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