「出会い」

8/16
前へ
/231ページ
次へ
「痛そうな傷ね。一体どうしたの?」 女性が心配そうに私を見た 「翔が道に飛び出して、車に轢かれそうだったところを助けてくれたんです」 男の人が苦笑しながら説明した 「あら、そうだったの?翔くん飛び出しちゃダメじゃないの」 女性は呆れた様にため息を吐いた 「ごめんなさい……」 男の子がシュンとしながら謝った 「怪我までして、翔くんを助けてくれてありがとう」 女性がニコッと微笑んだ 「いえ………」 私は小さく首を振った 体が勝手に動いただけだし…… 「よしっ!出来た」 腕を見ると、丁寧に包帯が巻かれていた 「すみません……ありがとうございます」 私はペコリと頭を下げた 「このくらい気にしないで」 クスクスと笑われた 「カフェラテ出来たぞ」 コトンとカウンターにカフェラテが置かれた 「ありがとうございます」 一口飲むと、暑さで火照っていたのか冷たくて気持ち良かった 「美味しい……」 私は小さく呟く 「コウちゃんの作る物は何でも美味しいんだよ」 男の子が笑って言った 「コウちゃんって呼ぶなっていつも言ってんだろ…………」 カウンターの男性がため息を吐いた 「コウちゃんはコウちゃんだもん」 男の子がプゥと頬を膨らませてプイと横を向いた 「そうよねー♪コウちゃんはコウちゃんよねー」 女性が笑いながら頷く 「彩姫!お前まで……」 「あだ名と思って受取りなさいよ」 「ちゃん付けなんて嬉しくねぇんだよ!」 「良いじゃない。コウちゃんで」 私は、目の前で始まった喧嘩?に目をパチクリさせた
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加