「出会い」

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「浩輔くんが怒るからじゃないの?あんな風に責めなくたって良いじゃないの」 女性が怒ってる様に言った 「本当の事だろ?」 カウンターの男性がフンっと横を向いた 「……誰のせいでもないです。すみません、お騒がせして」 私は小さく首振り、カバンを持った 「顔色悪いわ、もう少し休んでいってちょうだい」 女性が私の肩に手を乗せ、微笑んだ 【この子を今帰したらいけない気がするわ。1人にしてはいけない】 私に触れているからか、気持ちが強く流れ込んできた 「だ、大丈夫です。1人にしちゃいけないとか考えないでください」 私は身を捩り、離れた 「えっ……」 女性が驚いた様に私を見た しまった!心の中の気持ちなのに どうしようっ、どうしようっ! 私は恐怖の目で見られるのが怖くなった 気をつけていたのにっ…… ギュッと目を閉じ、体を強ばらせた 「…私ってそんなに思ってること顔に出てる?」 女性が自分の顔に手を当てながら首を傾げた 「…………え?」 私はマヌケな声を出してしまった 「彩姫は確かに分かりやすいな」 カウンターの男性がククッと笑った 「素直ですからね」 男の人も笑いながら頷いていた 「もうっ!2人とも」 女性は顔を赤くしながら腕を組んだ 「………彩姫が1人にしちゃいけないと思ったならきっとそうなんだろ」 カウンターの男性が私の方を向く 「もうすぐお店閉めるから、それまで翔と遊んでろ」 カウンターの男性がそう言うと……… 「ワーイ!お姉ちゃん遊ぼっ」 男の子が私の手を掴み、奥へと走り出した 「えっ!?ちょ、」 私はいきなりの行動に慌てた 「ごめんね?翔のこと少しの間お願いね」 男の人が笑いながら謝った 笑いながら謝るくらいなら、この子を止めてよーーー! 私は心の中で叫んだ
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