「信じる」

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あれから数日が経ち、私は前と変わらない生活を送っていた 友哉さん達に会うこともなく、あの話も関係も終わった 「これで良かったんだよね・・・だってこんな力があるのにバイトなんて無理だし。あの人達に何かあったら嫌だし」 昼休みになり、屋上で1人でご飯を食べながら呟いた 空は青く澄み渡り、気持ち良かった 不安な気持ちになった時、いつも空を見て落ち着いている 「そろそろ戻らないと・・」 予鈴が聞こえ、教室へと戻った 人と関わらない私は、学校でも1人 だから、教室に戻っても誰も何も反応しない 幽霊みたいな、空気のような存在だ 「ふわぁ・・・眠い」 私は自分の席に着いて、小さく欠伸をした 「午後の授業・・退屈」 ずっと座って、授業を聞いていると眠くなる 私は、午後の授業が始まって少しして、すぐに眠ってしまった 放課後になり、いつも通り私は家へと向かって歩いていた もちろん、イヤフォンも忘れずに、そして念入りにパーカーのフードを被った 「いつも通りの日常なのに・・何か足りないような気になる」 胸にずっとつっかえているモヤモヤが晴れない あの人達の優しさに触れてしまったからだろう 「・・・忘れないと。あんなのは一時の幻、夢。それにあんな別れ方しちゃったからもう嫌われてるだろうし」 私はギュッと唇をかみ締めた 「忘れないと・・・元の生活に戻らないと」 呪文のように、自分に言い聞かせた 小さく呟きながら歩いていると、いきなり誰かにパーカーのフードを取られた 驚いて後ろを振り向くと、 「浩輔さん・・・」 浩輔さんが不機嫌そうに立っていた
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