「信じる」

7/11
前へ
/231ページ
次へ
放課後になり、ピンチです 家に帰りたいのに帰れません 何故かって?それは……… 「幽霊、なかなか来ないね」 「でも、私たちが教室にいた時はまだ残ってたよね?」 「勘づかれたとか?」 いや、勘づく以前の問題だから 下駄箱で、しかも普通の声で話をしてれば丸聞こえだよ 私は小さく溜息を吐き、屋上へ向かった 「あーー、気持ちいいっ」 屋上は誰もいなく、静かだった んーー、と伸びをして寝転がった 「あの人達が帰るまで、ここに居よう」 面倒事は出来るだけ避けたいし 毎日これが続くのかなぁ……やれやれ 人の心を読まなくてもトラブルはあるのか 「…翔くんどうしてるかな」 無邪気な、人を疑う事を知らない少年 あんな真っ直ぐな子が増えたら、世界は平和かもしれない 「友哉さんはお兄さんって感じで、浩輔さんは見た目とのギャップがあるな」 クスクスと笑いがこみ上げてきた 目つきが悪くて、強面なのに優しいしお茶淹れるの上手だし 「彩姫さんは見た目はお淑やかな大人の女性で、優しくて綺麗で……強い人だな」 たった数日前に1度会っただけの人達 それなのに、忘れられない 忘れたくないと、初めて心がそう言っている気がする
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加