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ギリっと奥歯を噛み締めた
忘れないといけないって分かっているのに、忘れたくない
私はギュッと目をキツく閉じ、耳が痛くなるくらいまで音楽の音量を上げた
「そろそろ帰らないと玄関閉められちゃうな」
時間を確認すると夕方の6時だった
「夕飯いらないや」
昨日の出来事を見られたことが頭を痛めてる
「明日から面倒だなぁ」
休むか、でも休みたくない
考えながら歩いていると前から衝撃が……
転びそうになるのを堪え、下を見ると
「翔くんっ!?」
翔くんが私に抱きついていた
「1人?友哉さんは?」
視線を合わせるようにしゃがんだ
こんな夕暮れに子供1人なんて危ない
「友兄はコウちゃんの所だよ」
翔くんがニコニコしながら言った
「浩輔さんの?なら、翔くん友哉さん達に、ちゃんと言ってきたんだ」
私はホッと安心した
浩輔さんが勝手に出ていく事を許す様には見えないし、友哉さんも翔くんから目を離すとは思えない
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