「歩み寄る」

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そして私は静かに話し始めた 「私は昔から人付き合いが苦手でした。大勢でいるより、1人でいる事が好きで家の中に引きこもりがちでした」 昔を思い出すと、殆ど誰とも遊ばなかったな 「そんな私を母はいつも叱っていました。どうしてお友達と遊ばないの!変な子って思われるでしょ!親である私までが恥ずかしいわ!って………」 私はハハッと笑いながら言った 彩姫さん達は真剣に話を聞いてくれていた 「父は、表では何も言わず、何もしてくれませんでした。でも、母がいない所で優しくしてくれて頭撫でてくれたり、遊んでくれたり………」 温かく優しい思い出なんてこれくらいかも 昔からこの体質のせいで人と関われなかったし 「そんな父が私は大好きでした。唯一私に優しくしてくれて、怒らないしお友達と無理して遊ぶことないぞ。って笑ってくれたので。………でも、それが母にバレて父と母は毎日大喧嘩でした」 私はギュッと手をグーにした 昔を思い出すと頭がズキズキする 「母は父に、余計な事言わないで!周りの子と遊ばないなんて親の私が変に思われるのよ!って………父は、無理して遊ばせる事は無い。世間体よりも子供の事を大切にしろ!と」 息が苦しくなり、小さく浅い深呼吸を繰り返した
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