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「……ザックリでしたけど簡単な私の過去でした。では、お邪魔しました」
カバンを持ち立ち上がった
「………心月ちゃん、やっぱりうちでバイトしない?」
彩姫さんが微笑みながら言った
浩輔さんも友哉さんも驚いている
「住み込みじゃなくても良いから………どうかしら?」
ねっ?と笑顔で言った
「………ありがとうございます。でも、遠慮します」
私は静かに首を振った
「私は今でも人が苦手です。こんな素敵なカフェにいる訳にはいきません………私のことはもう、放っておいてください」
ペコリと頭を下げ、カフェを出た
「心月ちゃん!」
彩姫さんが呼び止める声がしたが、足を止めず家へと歩いた
家に着くと、ドアに寄りかかってズルズルと座り込んだ
ザックリだったとしても、過去を話したのにそれでも誘ってくれた
嬉しい反面、どうしても怖かった
「あんな素敵なお店を、笑顔を壊す訳にはいかない」
グッと手を握り、私は呟いた
誰かに過去を話せたのは初めてだった
それだけ、心を許し歩み寄れたのかもしれない
それでも……あそこにいる訳にはいかない
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