「出会い」

4/16
前へ
/231ページ
次へ
「早く家に着かないかな……」 学校から家までは歩いて20分 慣れてきたとはいえ、少し遠い 出来るだけ早く家に帰って1人になりたい そう思い、早歩きで家へと向かった 「翔、走ると危ないぞ!」 「大丈夫だよ!友兄も早くー!」 声がした方をチラッと見ると、私と同い年くらいの男の人と、小学生くらいの男の子がいた 男の子はこっちに向かって走っていた 「転ばないと良いけど」 そう思いながら、また家へと歩き出した 今日の夕ご飯は何にしようかな…… 最近暑いし、火をできるだけ使いたくないけど料理するには無理だしなぁ そんな事を考えていると…… 「翔っ、危ないっ!」 男の人の焦ったような声がした 声がした方を見ると、男の子が道路に飛び出し、車が来ていた その光景を見た瞬間、体が勝手に動いた 「何してるのっ!?危ないっ!」 男の子の方へ全力で走り、勢いよく腕を引っ張った 引っ張った反動で、私はよろけて男の子と一緒に倒れた 「バカ野郎!道に飛び出すんじゃねぇ!」 車の運転手は怒鳴り、走り去った 心臓がバクバクしている 間一髪とはこういう事を言うのかな 「し、死ぬかと思った……」 後先考えずに行動するもんじゃないな 「翔っ!」 「友兄っ!」 男の人がこっちに走ってくると、男の子は、私の腕から出て走り出した 「だからちゃんと止まれって言っただろ!車が来てるのに、左右見ずに飛び出すな!」 男の人が男の子に向かって、拳骨と雷を落とした 「ごめんなさい」 男の子はポロポロと涙をこぼした 「………これからはちゃんと止まるんだぞ」 男の人は優しく微笑み、男の子の頭を撫でた
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加