中年時代の拙打

2/3
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
 韓国からやってきた美脚魔女集団──少女時代。彼女たちが現れたおかげでおれの人生は今、台無しになりかけている。  九つのナイス・ルッキング・バディ。ショウ・マテリアルとして完璧な仕掛けを施された彼女たち。少女時代というマリオネットはわずか数ヶ月でおれの思考を乗っ取り、蝕み、停止させ、分別を片っ端から麻痺させることに成功した。まさに廃人ウイルスを媒介するための刺客──最高級のハニー・トラップ。  抗うことすら敵わない。その純粋なまでにいかがわしいパワー。彼女たちの魔力から逃れる術はない。  己で己を統べることができなくなることへの恐怖。お手軽な享楽に身を任せた痴れ者が見た虚像。予感に終わった甘い夢が今、瓦解をはじめようとしている。  今のおれは木偶だ。おれがおれでいるためには、この諸悪の根源──べらぼうに艶美で非常識にチャーミングな彼女たちとの関係に、ピリオドを打たなくてはなるまい。もしそれができなかったり、あるいは試みが失敗に終われば、おれはそこで死ぬことになる。  結論──さようなら、少女時代。  彼女たちに送る最後のリスペクト。おれは未来永劫に亘って彼女たちを──少女時代を心から消し去ることに決めた。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!