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店の外に出れば、大きく黒い車が狭い路地を占領していた。
「メグミ!!」
店から出たのが分かると、瑞樹が飛び出してメグミに抱き付いてきた。
会うのは4年ぶりだが、すぐに分かった。
「瑞樹、お前はまた危なっかしい事を。」
「メグミに言われたくないわ。」
「とりあえず車に乗れ。話は家に帰りながらしよう。」
押し込まれるようにして車に乗せられ、もう逃がさないとばかりに瑞樹に腕を抱き締められた。
瑞樹もまた、右側の翼が首につけられている。
「瑞樹も・・マスターになったのか。」
「ええ。」
「瑞樹の弓の腕はトップクラスだぞ。」
嬉しくはない。メグミは複雑そうに視線を下げ、足元をみつめた。
「高等学校にいる3年間、私のホストとしてついてもらうぞ。」
「ガキの頃の約束をあてにされてもな。」
「約束は、約束だ。」
どうやら果たすまで監禁しそうな勢いらしい。
メグミは2人の顔を交互にみた。
幼少部からマスターかホストとして能力を伸ばせるよう専門教育を受けた仲間。
ある秘密でかたく結ばれていた友情。
あの頃の幼さはほとんど2人には残っていない。
「待っていて、くれたんだろ、本当は。」
「メグミ、私達あれから凄く頑張ったの。力をかして。」
決意のかたい目で2人に挟まれたメグミは、断る事も受ける事も出来ず、ただ黙った。
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