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車で1時間ほど走れば、大きな屋敷の門を車が通った。
ワープトンネルを使った為、通常5時間かかる道のりも短時間で移動できる。
懐かしい庭、懐かしい屋敷
昔のままの光景に少しだけ胸が痛んだ。
「ココは私が買い取って、今は私の家だ。メグミの部屋も用意してある。」
「私も住むことになってるの。」
「ナーシャ・・もか?」
「あぁ、不本意ではあるが、あいつの父上から頭を下げられてな。仕方ない、貿易で世話になってる手前、無下にも出来ない。」
ルナを筆頭に貿易の分野で利益を得ている事は噂では知っていたが、まさかココまでとは思っていなかった。
「瑞樹様!どちらに行かれていたんですか!」
案の定おつき人であるケンが真っ青な顔で屋敷から飛び出してきた。
が、瑞樹の安否を確認するとメグミを見て笑顔になった。
「メグミ様!!」
「様はやめてくれ、ケン。私は今は2文字だ。」
「2文字?・・いえ、それは関係ございません。瑞樹様の大切なご友人に変わりはありませんから。」
瑞樹の付き人として幼い頃より付き合いのあったケンは、昔のメグミを良く知っていた。
そして、ケンの首には左の翼が刻印されている。
「瑞樹様のホストとして、ついております。」
視線に気付いたのかケンは微笑んだ。誇らしげに。
男性が苦手な瑞樹の克服として、ケンに男装をさせていたのはまだ続いているようだ。
いやもう、実についてしまっているようにも見える。
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