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「メグミ、4文字を用意してもいいんだぞ。」
「いやいい。気に入ってるんだ、これが。それに弱いと思わせて置いた方が、楽だろう。城ヶ崎の名に傷がつくと言うなら、別だが?」
「関係ない。お前の実力は私が知っている。」
こういう所がマスターとしてルナは更に珍しい類だった。
能力者の受け継ぎは遺伝の関係が強く、繁栄していく際に嫌でも同じような苗字がつく。
その特徴として、苗字の長さ。
5文字は国のトップ数名しかつけられない。
4文字はほとんどがマスターが占める名家。
3文字もしくは4文字はマスター並びにホストが多い。
2文字は能力を持たない人間につけられる。
その為、マスター、ホストが通う魔法省高等学校には2文字は1割もいない。
5文字のルナは国を担う人材なのは確かだった。
そんな人間に2文字がつく。酔狂にしては度が過ぎる茶番ともいえる。
「頼むぞ、メグミ。」
「過度な期待は禁物。ルナ自身が頑張らないと、私は何をしても役にはたたない。」
「それでも、私はお前を信頼している。全幅の信頼をな。」
それは昔と変わらぬ真っ直ぐな目だった。
相も変わらず、私はこの目に弱い。
「3年間だけ、だからな。」
こうして私の首には左の翼が刻印された。
いや、過去にもつけていたが、わざと消していたのを浮かびあがらせた。
契約を結んだ時、この翼の刻印は共鳴しあう。
マスターは右翼
ホストは左翼が。
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