握手

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「甲斐 メグミ。」 そう教室で自己紹介をした途端、ざわつく空間。 それを楽しそうに微笑むマスターであるルナは、多分本当にこの状況を楽しんでいるのだろう。 私もまたニヤリと不敵に微笑めば、雑音は更に大きくなった。 まるで狂った者を見るような目だった。 「愉快だなぁ、メグミ。」 「あぁ、そうだな。」 5文字の隣に2文字が並んで座るなど、あり得ない。 慣れてる私は別に何でも無い。 1年のクラスわけはほとんど名家によってわけられる。その後は実力順であるが、このクラスはほとんど4文字クラス。 しかもその中でも、学園創始者の孫、一ノ瀬瑞樹、貿易の大手会社の一人娘、双葉史ミーシャ、国の総裁トップの娘、城ヶ崎ルナがいるクラスは、その年でもっとも豊作とも言われ期待が高い。 「まさか、気でも狂ったの?」 「いや、しかし稀に人間にも能力者が。」 「2文字に入学資格者なんてあるの?」 コソコソと言ってる会話ほど、聞こえやすいものはないが、 「メグミ、一緒のクラスになれて嬉しい。」 と、にっこり微笑む瑞樹がいれば、それもまたまったく気にならなかった。
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