Ep:3‐奪われたもの

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小森?「なに見てんダって…聞いてンだよ!!」 ボッッ!! 咲「!?」 苛立った様子で、唖然とする咲へと手にする槍の先端を突きだす小森 咲は反射的にその槍を避け ザッ、タンッ!! 一度小森と距離を取った。 咲「どういう…ことですか…」 小森?「アァ?」 バラシィ「ぷっ…ははハッ! 変わりすぎなんだよオマエ!」 状況を理解しようとする咲の様子が可笑しかったのか、バラシィは笑いながら小森へと叫ぶ 小森?「……ちっ、テメェだな、俺様を起こしたのは」 小森はバラシィを視界に捉えると、機嫌も悪そうにそう声をあげた。 バラシィ「せっかく起こしたンだ…、礼くらいないのカ?」 小森?「フザケンナよ…? "また"こんな"器"で呼び出しやがってッ…!」 ここまでの一連の会話を聞き、咲はようやく状況の理解に追いついてきて 咲「あなたは…! あなたは誰ですか! 小森さんはどこへ…!」 そう、小森だった者へと問いかけた 小森?「……ちっ、俺様は"バンパイア"だ…! …生前の名前は覚えちゃねェがナ…」 咲「なっ!?」 "バンパイア" それは、世界共通での危険度Sランクの魔物であり 人間にも引けを取らない高い知能と人間よりも遥かに高い戦闘能力、そして、致命傷ですら瞬時に回復する生命力を持った、文字通り怪物のような存在。 咲「ど、どういうことですか!? その武器はビリーブ・ウェポンでしょう! それが、なぜバンパイアに……!」 自分でそこまで言って、気がついた ビリーブ・ウェポンは、魔物の魂でもある核を武器に入れ込んだ魔具 つまり、その槍に入っていた核こそが バンパイア「そうだ、俺様はこの槍に押し込まれてタ…。 とは言え、肉体はすでに滅んでいたがな…。 だから、この女は俺様の器になった訳ダ」 「女なのは気に食わんガな…」と、愚痴るように溢すバンパイア バラシィ「贅沢いうんじゃないヨ、おかげでまた自由に動きまわれるんダろ? 私もお前も、"アイツら"には感謝してやらなきゃなァ」 言いながら、バンパイアの方向へと歩み寄るバラシィ 咲(アイツら…?)「器って…じゃあ、小森さんはあなたの中にいるんですね」 バンパイア「ふん…知ったことか、俺様からしたらただの器だ、内容物がどうなろうと興味はナイ。 ただ、この女が俺様の意識を体現するのにベストな器だったってだけダ」 咲「ッ…!」 その発言を聞き、死にかけるほどの攻撃を受けたあげく、身体を勝手に乗っ取られた小森に同情し、咲はバンパイアを睨みつけ バンパイア「…気の強い小娘だ…、俺様がバンパイアだと知って、まだそんな気概を見せるカ」 バラシィ「だから面白いんダロ? コイツが泣き叫んで恐怖に歪ませる顔…見たくないカィ?」 バンパイア「…キサマも相当歪んでいるが……悪くない提案ダ」 ククッ…と、厭らしく口元を歪めるバンパイアとバラシィは、どうやら結託した様で バンパイア「だガ、その前に…」 と、バンパイアは足元に倒れるレオンへと視線を落とす。 バンパイア「このゴミは邪魔ダナ」 キュアッ―― 言って、レオンへと左の手のひらを向けたバンパイアは、そこに赤い光を収束させ 咲「!? やめなさいッ!!」 そんな行為を見た咲は、その場から一気に踏み出し ゾアッ!! 闇を纏わせた真剣を振りかぶった。 咲「!?」 ギャリンッッ!! バラシィ「まぁそう慌てるナヨ…」 ニヤニヤと、大斧を奮い咲を阻害するバラシィ 咲「邪魔をっ…!!」 バンパイア「消えろ」 ―――ドンッッ!!!
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