Prologue

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あの日は、酷い雨だった気がする… 強い雑音で、回りの音は聞こえなかった… 「……なんで」 でも、目の前に血まみれで倒れる 慕っていた彼は… 今でも、脳裏に刻まれている 「兄ちゃん…!兄ちゃん!!」 不安で、幼い俺は 耐えず呼びかけ 「っ……悪い…な」 もう喋ることも苦しかった筈なのに 彼は俺に答えてくれた…。 「兄ちゃん…!」 「俺は…もぅ……。 お前に…これを……」 息も絶え絶えに、彼は俺にペンダントを握らせた 「これ…兄ちゃんの大切な……」 「なぁ…、1つ…頼んでもいいか…」 彼は悟っていたんだろう、自分がもう… 生きられないことを 「なに言ってるんだよ…兄ちゃん!」 「強く…なって…。 兄ちゃんが…護れなかったものを……。 護ってやって……くれ…」 幼い俺にペンダントを握らせたまま 彼は俺の返事も聞かず 永遠の眠りについた…。 「…うっ……うぅっ…」 溢れてくる涙を雨に流して 「…護るよ……約束だ」 キィィィン――… あの日、俺は十字架を“背負った” 果たせなかった彼の願いを、叶える為に 決意したんだ。 強くなって 全てを護るって――…。
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