Ep:4−可能性

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メユ「やった!!」 咲の奮った巨剣がバラシィの腹部を横一閃に斬り裂いたのを見て、メユはガッツポーズを取るも 咲「まだです!」 この程度の攻撃では自己治癒される事を理解している咲は、攻撃の手を休めず 再び真剣に闇を纏わせ、バラシィへの距離を詰める。 アーク「……」 そんな咲の様子を見たアークは、チラリと、バンパイアへと視線で指示を出し バンパイア「チィッ…」 バンパイアは嫌々ながらも逆らいはせず ブォッッ!!! 咲「!?」 ギャァインッ!! バラシィに向け振り下ろしていた咲の真剣を、真横から乱入して槍で弾いた。 将「あっ! テメ!」 流れ的にバンパイアを担当する事になっていた将は、一瞬で咲へと近づいたバンパイアを追って駆け出し バンパイア「…」 しかしそんな将の動きに気づいていながらも、バンパイアは冷静に、咲へと追撃を加えようと槍を引き戻し 腰に深く構えたそれを再び突き出そうとしたが パパパァンッ!! メユが放った矢に気が付き、そちらを優先して処理した。 が、それにより猶予ができた咲と将 2人は、左右からバンパイアに向け刃を繰り出し バンパイア「チッ!」 ダンッ! ガギャンンッッ!!! バンパイアは間一髪で跳び上がり、将と咲は標的を失った事で結果斬り結ぶ事となった。 将「おぁ、すまんッ!」 咲「いえ…」 互いに刃を引き、再度向き合う4人。 バンパイア「あの連携は厄介だな…」 バラシィ「アァァ!! ムカつくゥゥッ!!」 バンパイアは冷静に、咲たちの連携についての分析をしていたが、バラシィはやられた怒りが収まらないようで、頭を掻きむしる。 そして当然のように、先程咲に傷つけられた傷跡も、鱗が覆っていた。 メユ「あの人…どんどん人間から離れてるような…」 咲「事実でしょうね、口調も段々単調になっていますし」 将「なら、やっぱ厄介なのはバンパイアのほうか…。あのヒューマノイドは動く気はとりあえずなさそうだし」 と、ここまで観察しているだけのアークの様子に、一先ず息をつく将 咲「流れで攻撃しましたけど、身体は小森ニ士のものです。 できれば傷つけたくはないですが…、バンパイアが乗っ取っている間は、傷は超回復します。 事実、小森ニ士はバンパイアに変化前、死にかけるほどの致命傷を負いましたが、今はあの通りですから」 将「超回復は厄介だが、身体が回復するなら多少は気が楽か…、楽…なのか?」 メユ「でも、攻撃もできないんじゃ、ただでさえ強そうなのに、どうしようもなくないですか?」 咲「考えられる方法はあります。 まず1つ目は、アーク・スタジオンのもつ端末、あれがバンパイアに関する物なのは間違いないでしょうから、ただ、今あちらにまで手を出すのは得策ではないですし、端末でできることが分からない以上優先度は低いです」 メユ「じゃあ、2つ目は?」 咲「単純にビリーブ・ウェポン本体の破壊です。 弾き飛ばしてもいいですが、確実なのは破壊でしょう。 実際、あの砂漠での戦いでは、ビリーブ・ウェポンを破壊したことで強化状態が解除されていましたし」 と、過去の戦いでの経験からそう提案する咲だったが 将「けど、問題はあの硬さじゃないか? さっき打ち込んだ時は、ビクともしなかったけど」 将はその提案にも難色を示す。 メユ「や、それはにぃさんの攻撃がヘボかっただけで」 将「へぼ!? じゃあお前やってみろよ!」 メユ「私が破壊できるならとっくに解決してますよね?」 将「開き直んな!?」 咲「強度はなんとも言えませんが、以前は黒羽の極撃で破壊できました。 狙うとしたら、その辺りかと」 メユ「じゃあ、黒姫さんにはバンパイアを任せたほうがいいですね」 将「あの女は黒姫一士に執着してそうだがな」 メユ「そこはにぃさんがなんとかしてくださいよ」 サラッと話すメユに、もはや将はなにも言い返さず 咲「とにかく、チャンスはアーク・スタジオンの気が変わらない内です。 あれに動かれれば、形勢はひっくり返されますよ」 コントのようなやり取りをする2人に言って、咲は続ける 咲「それに、急がないとアクセルさんも危険です。 今は応急処置されてますが、かなり危ない状態ですから」 メユ「…そう、ですね」 将「悪い、気合を入れ直すよ」 咲に指摘され、2人がそう反省して言葉を返した時だった。 ドウォォォンンンッッ!! なにかが頭上で爆発したのは…。
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