Ep:4−可能性

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メユ「なに!?」 咲「…ようやくですか」 頭上での爆発に驚き、一同がそちらへ視線を向ける中、咲は一人、ホッと息を吐きつつそう呟く。 ボフッ! 空中に広がる爆煙を突き抜け、咲たちの少し後ろに降り立ったのは 「うーん、なんとかこっちまでこれたけど…」 なにやら困った表情を浮かべる、レジェンドヴァルキリーへとドレスアップしていたルンであり… ゥゥ――タンッ バラシィたちの背後、アークの眼前へと降り立ったのは 将「ん!?」 咲「…教導官…!」 未だ自我を失ったままらしい、リーナだった。 咲「どういうことですかっ?」 見るからに普通じゃないリーナの様子を確認し、すぐさま背後のルンへと振り向く咲 ルン「うん、とりあえず連れてきてみた☆」 テヘッ☆ というような効果音が似合いそうな表情で、ルンは咲へと返し メユ「や、答えになってませんけど!?」 それにはメユがツッコミを入れた。 バラシィ「ぷっはハ! なんダ! 結局堕ちてルじゃないか!」 と笑うのは、リーナの様子を見たバラシィで 咲「どういうことです」 ルンから話を聞くのを諦めたのか、今度はバラシィたちへと問いかける咲 そんな咲からの質問を受け、言ってやんなよ とでも言いたげに、バラシィはアークへと視線を移す。 アークは、小さく息をつくと アーク「そいつには、ある"実験台"になってもらっただけだ」 そう、短く答えた。 将「実験台だと…? なにをしやがったテメェら!!」 アーク「ビリーブ・ウェポンの"可能性"を計ったまでだ。 魔力を開放したウェポンに触れさせることで、精神を乗っ取らせようとしたが…その女は抵抗し続けた」 「最後には、自我を失ったようだがな…」 と、アークは付け足すかのように呟き 咲「自我を…?」 ルン「うん、どうやらそうみたいで、リーナさんを蝕んでた闇が体内で膨張して、意識を失ったままなのに、闇に身体だけが操られてるみたいなの」 メユ「身体だけが操られてるって…Dハーツ使ってません?」 意識がないと聞いたものの、リーナが手にするのは普段彼女のサポートをするDハーツの変形した槍で間違いなく そしてDハーツは、なんの指示もなく勝手に発動することはない。 ルン「あれは多分…反射かな?」 メユ「反射?」 ルン「うん、ほら、寝てても危ないと身体が勝手に動くとかあるじゃん?」 メユ「……いや、心当たりなさすぎて」 ルン「あれ?」 ルンの話に共感はできなかったものの、どうやら無意識でDハーツを起動してしまっているらしいリーナ バラシィ「ははッ、なまじ強いと厄介だねェ」 そんなリーナの状態を馬鹿にするように笑い飛ばしていたバラシィだった…が バンパイア「…オイ」 ビュアッ!! バラシィ「!?」 ガキィィンンッ!! リーナはユラリとバラシィに背後から近づくと、その手にする槍を彼女に向け突き出し、バラシィは間一髪、バンパイアの一言で直前に気が付き大斧の柄で防いだ。 ギリギリギリ……! バラシィ「お前ェ…!!」 リーナ「グゥゥ…」 唸り声を上げながら、その赤い瞳でバラシィを睨むリーナ バンパイア「あくまで、自我がないだけの獣カ…。 …ドウスルつもりだ?」 バンパイアはそんなリーナの様子を見て、背後のアークへと振り向く アーク「…その女は戦闘面では少々厄介だが…今なら支配できるだろう」 アークは独り言のようにそう呟き、次元を開くと、そこからメカニカルな鎌を取り出した。 将「! あいつまさか!」 咲「そのまさかですね、風花さんっ!」 メユ「はいっ!」 ドドンッ!! 咲たち一同はアークの行動を予測し、メユはそれをさせないようにアークと、リーナ本人へと風の矢を放つ。 アーク「……」 ひょいっ と、首を逸らして簡単に避けるアークと リーナ「っ!」 バラシィに向けていた槍を引き戻し、横に飛び退いて矢を避けるリーナ 結果として、リーナをアークから離す事には成功した。
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