15人が本棚に入れています
本棚に追加
メユ「なに!?」
咲「…ようやくですか」
頭上での爆発に驚き、一同がそちらへ視線を向ける中、咲は一人、ホッと息を吐きつつそう呟く。
ボフッ!
空中に広がる爆煙を突き抜け、咲たちの少し後ろに降り立ったのは
「うーん、なんとかこっちまでこれたけど…」
なにやら困った表情を浮かべる、レジェンドヴァルキリーへとドレスアップしていたルンであり…
ゥゥ――タンッ
バラシィたちの背後、アークの眼前へと降り立ったのは
将「ん!?」
咲「…教導官…!」
未だ自我を失ったままらしい、リーナだった。
咲「どういうことですかっ?」
見るからに普通じゃないリーナの様子を確認し、すぐさま背後のルンへと振り向く咲
ルン「うん、とりあえず連れてきてみた☆」
テヘッ☆ というような効果音が似合いそうな表情で、ルンは咲へと返し
メユ「や、答えになってませんけど!?」
それにはメユがツッコミを入れた。
バラシィ「ぷっはハ! なんダ! 結局堕ちてルじゃないか!」
と笑うのは、リーナの様子を見たバラシィで
咲「どういうことです」
ルンから話を聞くのを諦めたのか、今度はバラシィたちへと問いかける咲
そんな咲からの質問を受け、言ってやんなよ とでも言いたげに、バラシィはアークへと視線を移す。
アークは、小さく息をつくと
アーク「そいつには、ある"実験台"になってもらっただけだ」
そう、短く答えた。
将「実験台だと…? なにをしやがったテメェら!!」
アーク「ビリーブ・ウェポンの"可能性"を計ったまでだ。
魔力を開放したウェポンに触れさせることで、精神を乗っ取らせようとしたが…その女は抵抗し続けた」
「最後には、自我を失ったようだがな…」
と、アークは付け足すかのように呟き
咲「自我を…?」
ルン「うん、どうやらそうみたいで、リーナさんを蝕んでた闇が体内で膨張して、意識を失ったままなのに、闇に身体だけが操られてるみたいなの」
メユ「身体だけが操られてるって…Dハーツ使ってません?」
意識がないと聞いたものの、リーナが手にするのは普段彼女のサポートをするDハーツの変形した槍で間違いなく
そしてDハーツは、なんの指示もなく勝手に発動することはない。
ルン「あれは多分…反射かな?」
メユ「反射?」
ルン「うん、ほら、寝てても危ないと身体が勝手に動くとかあるじゃん?」
メユ「……いや、心当たりなさすぎて」
ルン「あれ?」
ルンの話に共感はできなかったものの、どうやら無意識でDハーツを起動してしまっているらしいリーナ
バラシィ「ははッ、なまじ強いと厄介だねェ」
そんなリーナの状態を馬鹿にするように笑い飛ばしていたバラシィだった…が
バンパイア「…オイ」
ビュアッ!!
バラシィ「!?」
ガキィィンンッ!!
リーナはユラリとバラシィに背後から近づくと、その手にする槍を彼女に向け突き出し、バラシィは間一髪、バンパイアの一言で直前に気が付き大斧の柄で防いだ。
ギリギリギリ……!
バラシィ「お前ェ…!!」
リーナ「グゥゥ…」
唸り声を上げながら、その赤い瞳でバラシィを睨むリーナ
バンパイア「あくまで、自我がないだけの獣カ…。
…ドウスルつもりだ?」
バンパイアはそんなリーナの様子を見て、背後のアークへと振り向く
アーク「…その女は戦闘面では少々厄介だが…今なら支配できるだろう」
アークは独り言のようにそう呟き、次元を開くと、そこからメカニカルな鎌を取り出した。
将「! あいつまさか!」
咲「そのまさかですね、風花さんっ!」
メユ「はいっ!」
ドドンッ!!
咲たち一同はアークの行動を予測し、メユはそれをさせないようにアークと、リーナ本人へと風の矢を放つ。
アーク「……」
ひょいっ と、首を逸らして簡単に避けるアークと
リーナ「っ!」
バラシィに向けていた槍を引き戻し、横に飛び退いて矢を避けるリーナ
結果として、リーナをアークから離す事には成功した。
最初のコメントを投稿しよう!