Ep:4−可能性

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バラシィ「…まったく、勝手にハジめちまいやがっテ…」 どこか冷めた目でそう呟くバラシィは、バンパイアに踏みつけられる将と、アークと斬り結ぶルンを流し見ると バラシィ「あたしに勝てルとホンキで思った訳でもないダロウに」 自身の正面で、水に濡れて倒れるメユを見下した。 メユ「はぁっ…はぁっ…」 バラシィの魔法で作られた水のムチにいたぶられ、最後に大量の水を、まるで滝のように頭上から落とされたメユは、その勢いに抵抗できず、地面に倒されて荒い呼吸を繰り返しており メユ「っ…う…!」 しかしそれでもまだ心は折れていないようで、地面を押し返すようにして上体を持ち上げる仕草を見せる バラシィ「……分かってるはずダロ?」 パァァァンッッ!! 呟き、生成した水のムチで、立ち上がろうとするメユの頬を叩くバラシィ メユ「っ―――!」 ドサッ! 鋭い痛みで声すら出ず、メユは再び地に伏せる。 バラシィ「あんたはハズレなんだよ、あたしに当たって。 まぁ、あたしかラしてもハズレだけどね、あんたみたいナ雑魚の相手ハ…」 メユ「〜〜…!」 まるで手も足も出ない悔しさから、メユは奥歯を噛み締め メユ(黒姫さんに教導官を任せたのに…私は…!) ギュッ と、拳を握りしめた。 そして メユ「ウィンサブ・シルフィード!!」 ノーモーションでそう声を上げれば、バラシィの足元には緑の魔法陣が展開され ゴオッッ!! 魔法陣からは、上空へ向け突風が吹き荒れた。 バラシィ「なに!?」 魔法を仕掛ける所作すらなかったメユの突然の反撃に、バラシィは慌て、突風によって体勢を維持できずにふらつくと メユ「一気閃華ッ!!」 その隙をつき、メユは弓の弦をいっぱいまで引き、そこに生成した巨大で鋭い風の矢を ドンッ!! バラシィへ向け放った。 ドズッッ!!! バラシィ「!!」 体勢を崩していたバラシィは風の矢を防ぐ事すら出来ず、その腹部にはまともに、鋭い風の矢が突き刺さり、その勢いに押され、足元の魔法陣から押し出されたバラシィはそのまま背後へ数メートル吹き飛ばされて行った。 メユ「はぁ…はぁ…まだ…!」 これで終わりとは思っておらず、息も絶え絶えにメユは再び弓を構え直した。 そんな時 ッゴオォォォォォッッ!!! メユ「…え?」 目の端に巨大な火柱が映り、それが誰が発したものかすぐに理解したメユは、構えを解いてそちらへ視線を向けた。 メユ「にぃさん…!?」
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