第1章

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教室の扉を開けたら、 そこには、 僕がいた。 授業は全て終了し部活動に所属するものは部活へ、帰宅部組はとっくに帰宅している時間なので教室も廊下も閑散として静かだ。 僕は目の前に現れた『僕』の姿を改めて凝視する。 160センチと少しの高校生男子にしては低い身長。 目にかかりそうな鬱陶しい前髪に 真っ黒なフレームの地味な眼鏡。 青白い肌に筋肉の無いガリガリの身体は見るからに弱々しい。 地味でダサくて、勉強もスポーツもいかにもパッとしなさそうだ。 もちろん、女の子となんて一生縁が無さそう。 うん、やっぱりどこからどう見ても僕だ。 右目の下のホクロも顎にできた赤く潰れたニキビも全てが同じだから、そっくりさんや生き別れた兄弟でもないだろう。 目の前の現実に全くついていけず呆然とする僕に『僕』が話しかける。 「こんにちは、もう一人の僕」
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