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「だからさ、僕は君の代打みたいなものさ。
世界を交換してあげる。
君は僕にかわって、明るく友達の多いテニス部員として過ごすんだ!
そりゃこのルックスだから、女の子にモテモテってわけにはいかないけどね。
僕の方は君よりゲームがうまいからこちら側でもそれなりにやれる」
「交換? そんなことが可能なの?」
「できるよ。君が望めばね」
交換・・ 友達がいてテニス部に所属する僕・・・
もう一つの世界では、目の前の彼のように自信を持って生きられるんだろうか・・・
「悩むことないだろ。交渉成立、それでいいね?」
彼は成績優秀な営業マンのように有無を言わせない強い言葉と笑顔で僕に問いかけた。
「う、うん」
僕は彼の勢いに押されるようにそう答えた。
頭の片隅にほんの少しだけ、もし本当だったらと望む気持ちがあった事は否定しない。
僕の答えを聞いて彼がニヤリと笑ったその瞬間に、僕の足元が歪み、奈落の底に落ちていく。
最後に見た彼の顔は、天使のようにも悪魔のようにも見えてとても魅力的だった。
「やっぱり、簡単に騙された。
あっちの世界でもまぁ頑張ってね」
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