第1章

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 暫く停止したかと思うと、下半身の健全なる部位に激痛が走った。   何が起きたのかと痛みに耐えながら見てみると、人間大の蝿のような頭部がそこにあり、口から黄色い液体を滴らせ細く茶色い触手のような物を突き刺していた。 「何をしているんだ、黒川さん。痛いじゃないかっ」 「何って注射しているのよ」  注射?そうか、また妄想か。しかし何故そこに?とても痛いのだけれど。でも、これを悟られる訳にはいかない。僕の心の自由は痛みなどに支配されぬと知れ。 「でも、何故そこなの?」 「此処が一番効果が高いからよ」  触手のような物から何かの液体が入ってくるのが、分かる。痛みが和らいでいく。麻痺していっているという方が正しいかもしれない。実際は注射器が刺さっているだけか…。  …あれ?彼女は注射器なんて持っていたか?本しか持ってなかったようだけど…。なんだか…麻痺が全身に回る…。痺れてきた…眠い…。
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