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黒川の恍惚とした表情に僕は戦慄した。ずっと…?詳しく訊くべきだろうか…?
「四六時中見ていたのよ、哀川くん。朝から晩まで、ね」
下宿に居る時もということか?いや、詳しく訊くのは止そう。それらは既に起きてしまった事なのだから。
「…そうなのか。じゃあ今日からそういう事は止めて頂きたいな」
「ええ。そのつもりよ。だって今日はこんなに近くに居るのだもの。それにこれからは部室で会えるし、ね」
微笑んだ顔に歪んだ目付き。
「分かったよ。そしたらそろそろ出してくれないか?」
「ダメ。まだ見たりない。せっかくこんな近くで見えるのだから、じっくり見せて貰うわ」
何なんだ?この女?何処か壊れているんじゃないのか?ふん。それにしてもこの女は僕が男である事を忘れているのではないか?笑止。力づくで抜け出してみせる。
そう思った僕は黒川泉を押し退けて、鍵を開けて脱出しようとしたが、気付くとまた便座に座っている。
「あれ…?」
「どうしたの、哀川くん?立ったり座ったり。ふふ…」
何だ?おかしいな。もう一度…。
立ち上がろうとした矢先に黒川泉が僕の首の辺りをさっと触れたように感じた。
「ふふ…。分かったかしら?わたしはね、幼い頃より武道全般を習ってきたの。今迄何の為にこんな事をやってるのか、と考えた事もあっ たわ。でも、そう貴方と一緒に居 る為だったのね…」
なんというか、綺麗な姿形をしているそれは悪魔のように見えた。
そんな悪魔の微笑みが再び目の前にあるのだから、僕は従うしかないのだった。
「ほら、これでいいでしょう?」
「何を言っているの、哀川くん。下も脱ぐの。わたしの医学は全裸でないと完成しないのよ」
「いや、それは…」
「恥ずかしいのね。恥ずかしがる哀川くん…。眼福だわ…。そうね、ではわたしも脱ぎます」
「え、おい…」
言うが早いか黒川さんはするすると衣服を脱いだ。豊満だが整ったバストそして引き締まったウエストが美しい曲線を描いている。腰部でやや広がりを見せて、やや筋肉のついた脚が美しさを完成させていた。この悪魔的に美しい身体で仁王立ちして腕を組み、僕に微笑む。
「ねぇ…花も恥じらう女の子が脱いだのよ。それなのに哀川くんは恥ずかしいなんて言っていられるのかしら?」
「こんなのおかしいよ…」
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