第1章

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思えば オレの人生は いつも つまらないものだった。 普通の家庭に生まれ 普通に育ち 普通の学校に通って 可もなく 不可もなく 本当に 退屈なものだった。 でも 3日前 そんなオレが 恋をした。 今までだって 誰かに好意を寄せた経験くらいは あった。 でも 女の子を喜ばせるスキルなんて 持ち合わせていないオレは 結局何もできないまま 自分の好きな子が 他の男に持って いかれるのを 指をくわえて 見ているしかなかった。 しかし 今回は 何かが違った。 今まで 出しゃばりもせず 問題を起こすこともなく 「普通」に過ごし続けてきたオレへの ご褒美だろうか? 初めて 女の人からデートに誘われたのだ。 彼女は 特別に可愛いわけでも 派手なわけでもなくて どちらかと言えば 地味な顔立ち。 でも パーツのバランスがすごくキレイで 黒ブチ眼鏡が その端正さをさらに際立たせていた。 そして なんの手も加えてない サラサラと美しい黒髪に 出るところは素晴らしく出て シャツのボタンがはち切れんばかりなのに それとは対照的に きゅっとくびれた腰。 バカな男は気づかないかもしれないが 彼女は美しい。 オレには 分かっていた。
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