四月 また出会った時とは違う世界

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 あれからのこと。自分が空の正体を知り、空と離れ、数か月一人で過ごし、友達と普通……変わった世界を歩いて、それから……… 「こーいちっ」  無邪気な笑顔で呼ばれる自分の名。そう。空が戻ってきたこと。それが何よりも嬉しかった。  空が帰ってきて変わったこと。まずは空自身。ちょっと身長が伸びた模様。というか伸びた。たった一年でここまで伸びるかと思う。今の身長はだいたい156程度。その前は152ぐらいだった。 次に性格。前は自分から外に出たくはなかったが、なんと自分から外に行きたいなんて言い出したこともある。それも2日に1回ぐらい。誰かと話しても人見知りなところは変わらずだが、少し喋ることはできるようになっていた。  挙句にはたまに子狐になっては家の中を駆けまわって追いかけっこしている。 「こーいち、おいでおいで~~!」  こうやって追いかけると体力切れになるまで逃げられる。ぴょんぴょんと跳ねながら家の中を走り回る狐を捕まえるというのは正直難しい。 「はぁ…はぁ……はぁ………」 「えへへ~~」  疲れていきを切らしていると空が少女の姿に戻り、抱きついてくる。 「はぁ……頼むから狐の追いかけっこはやめてくれないか?」 「や~だ~」  にっこり笑って言う。きっと数日間に1回ぐらいのことで追いかけっこをやることになるだろう。  それとテレビだが、見れるようになった。普通のバラエティとかドラマとかアニメを見てもこれといって面白いと思うものは今のところないらしい。  好きなのは動物番組。動物の番組をやっているときは目をキラキラさせて見ている。  嫌いなのはホラー映画とか殺人関連の番組。過去にたまたまモンスターパニック映画がやっている時に何をやってるかとチャンネルを切り替えている時に、人がモンスターにパックリ食われた瞬間のタイミングで切り替わった時は空は大泣きしていた。 「~~~~~~~!!!」 「ごめんごめん……よしよし」    なんやかんやで離れてからいろいろと変わった空であった。でもそんな空は今で好きだ。
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