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「あのさ」
「なによ……あっ、次は問題を解いたお礼を要求するの?」
ついさっきまで、問題の答えが分かったと歓喜していたのに、一気に嫌悪へと豹変した。
喜怒哀楽が激しいんだよな、彼女は。
何気ないことで、彼女がクスリと笑う顔を毎日みれるのは、本当に幸せだと思っている。
「俺が、未来から来たっていったら信じる?」
「……は? どうしたの急に」
思ってもみない俺の発言に、彼女は目をぱちくりとさせた。
「未来からきた証拠はあるの?」
「証拠かぁ。俺余計なことして未来変えたくないから、とりあえず俺は未来から来ましたよ」
「ふーん。審議の結果、証拠不十分なので、単なる戯言だと判断します」
「まぁ……そうなるよね」
なにが可笑しかったのか、彼女はクスリと笑った。
机に置いてある彼女の携帯が振動した。携帯を開いて、ディスプレイを眺めたあと携帯を閉じた。
「先に帰っててメールしたのに、彼氏が校門で待ってるってメールが来たから、あたし帰るね」
教科書等を鞄に入れて、彼女は席から立ち上がった。
「青春羨ましいな」
「タカノくんも、卒業までには青春できるわよ。てゆうか未来から来たんだから、そこはもう分かってるんでしょ」
「まあね」
彼女は教室から出ていった。
しんと静まってしまった室内。
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