第1章

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興奮して大声出す紅林を、クラスメート達が舌打ちしながらチラ見する。 紅林よ。昼休みと言えども節度を持とうか。ってか、感動のラストが決まっているんじゃ無かったっけ? 「なあ紅林。感動のラストは決まってるんだろ?聞いてるとはんぺんからハンバーグに変えてしまうと物語が完全に別物になるっぽいけど、大丈夫なの?」 当然の疑問だと思った。話が変わってしまったら脳内プロット云々も何なんだって事になるし。 しかし、紅林はそう思わないようだ。 「やだなぁアッピー!例えば千葉から福岡に向かうとするじゃない?そのルートは車や新幹線、飛行機だってある。変化球なら徒歩に自転車、ヒッチハイクもあるよね?」 紅林の顔が紅葉し始めた。 「つまり!つまりだよアッピー君!途中の過程が違えども、千葉から福岡には辿り着く!小説も同じさ!出だしとラストが決まっていれば、物語は綴れる!そして、その柔軟性こそが、脳内プロットの素晴らしい所なのさ!」 「んんむ、とは言え、とてもデミグラスソースやワサビソースの違いに起因するミステリーを創れる気がしないけどなぁ。」 俺が腕を組み、それから顎をスリスリして悩んだ素振りを見せると、紅林が更に顔を紅葉させて机を叩く。お。そろそろ紅木位の紅さだな。 「簡単な事さ!そんなの!デミグラスソースには青酸カリ、ワサビソースにはトリカブトが練り込まれているんだ!そして、それを食べたクラスメートが……!」 「それじゃミステリーになってないんじゃ?何故そんな怪しいハンバーグをクラスメート達は食べるの?普通は食べないよね?何かに操られて食べてしまう設定ならば、それはミステリーでは無くてホラーだよね。B級の。」 紅林の顔が真っ赤に燃え上がった。 紅木から紅林を通り越して一気に紅森の完成だ。 「じゃあアッピーが見本を見せなよ!?そこまで言うなら!!」 バン!と、思いっきり机を叩いた紅林の顔が歪む。 ああ、掌がジンジンして痛かったな、あれ。 まあ、取り合えず考えて見るか……
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