第1章

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おいしい、おいしい、と王様が食べるので、「王様、家の母ちゃんの手作り弁当は格別だぜ?」と男子生徒は微笑み、今度こそ大好物である鳥の唐揚げを箸に摘まみ、王様の口に運んでやる。 結局全て、軽々ペロリと平らげたのだから、食事の順番などはどうでも良かったかも知らんなと男子生徒が笑い、いやいや、ソナタの心遣いはあっぱれで有ったと、王様も笑っていると、やがて立ち上がった王様が「礼をせねば成らぬ」と言って両手を天高くに掲げた。 わら半紙がハラリと落ちて、床に落ちようとしたその瞬間、吸われる様にふわりと舞い上がるわら半紙。 何事かとわら半紙を見ていた男子生徒が「あっ、」と声をだした。 宙を舞うわら半紙は、いつの間にかに宇宙を舞った。幾満の星空を舞うていた。いや、違う。 わら半紙が星空満ちる宇宙を舞うているのでは無い。 男子生徒と、王様と、わら半紙を除いた全ての物がその場から無くなり、男子生徒と、王様と、わら半紙だけが宇宙空間を漂っていたのだ。 上も、下も、右も左も幾満の星空満ちる宇宙空間。 何が起きたのか理解できぬ男子生徒が、恐る恐る王様を見ると、「我は森羅万象の王で有る。ソナタに礼として、地球以外の星や生命体を見せてしんぜよう」と言い、あの星々を見よと煌めく幾満の星々を指差した。 すると男子生徒は飛び立った。 幾満の煌めく星々を飛び交った。 男子生徒が興奮したのは、赤い星、詰まりは燃ゆる星も無数に有るが、青い星、詰まりは地球の様に水と空気を携える星も沢山有ることに驚きと感動を覚えたからだ。 どれ程の時間が経ったのか解らない。いや、既に時間の概念何て言う存在は不用なのかも知れないと思い立った頃、森羅万象の王が1つの青い星を指差したので男子生徒もその星を見る。地球の様に青い星だ。 「アッピーよ。これより我々は、あの星へと降り立つ事とする。そこでソナタに1人だけ家来を遣わそう。もしも家来として共にあの星へと降り立ちたい者がおうたら申し出るが良い。」 アッピーと呼ばれた男子生徒が迷わず「紅林を」と返すと、王は良かろうと言い、次の瞬間には紅林が男子生徒の横に居た。
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