第1章

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「アッピー!ア―――――ッピィ――――ッ!」 森羅万象の王様を造り出してから1年。 違うクラスになってはいたが、未だに仲の良い紅林が、休み時間に俺のクラスへ走り込んできた。 「アッピー!聞いてくれよ!パクられた!俺、パクられちまった!」 ゼェゼェと息を切らしている紅林。よっぽど走って来たのだろう。 「どうした紅林?警察にパクられたのか?」 とは言ったものの、はて?昨日も紅林は登校していた。そして、今はここに居る紅林は、一体いつパクられたのだろうか? すると紅葉した紅林が「違うよ!警察にはパクられて無いよ!パクられたのは俺の魂さ!」と言ってきた。益々もって解らないので、解るように説明してくれと諭したら、幾分落ち着いた紅林が、コホン、と咳を1つ払ってから話始めた。 「いや、パクられたのは俺の魂と言うべき作品、小説さ!今度、俺の所属するサイトから又も書籍化される作品が有るんだけど、その設定が俺とアッピーで考えた設定に似てるんだ!つまり、今、俺の連載している作品に似てるんだ!」 紅林は興奮し、机をドンドンと叩いては痛てぇ痛てぇと手を擦る。 そして俺にグイと顔を近づけ 「俺の作品をパクった小説にはさ!俺の小説と同じ森羅万象の王が出てきて、宇宙が舞台で!違うのは俺の小説は地球人が他の星に行くけど、パクり作品は地球にやって来る事!バトルじゃ無くて恋愛カテな事!でも、森羅万象の王!旅する男二人組!似ている設定が沢山有るんだよ! ちきしょう、パクったクリエも高校生で、既に1作書籍化してる奴なんだ!そんな奴が、俺の作品をパクるなんて許せない!」 ああ、やれやれ。仕方が無い。 俺はコホンと1つ、咳払いをして紅林に向き直る。 「なあ紅林。そのパクったらしい作品の名は『スペースインモラル』だろ?それ、俺の作品。だから、考えたのは紅林ってよりも俺だからさ。」 紅林が固まった。 俺は一言、紅林に告げる。 「ごめんね。」
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