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「あー……かったるい」
そう愚痴りながらも仕事をこなしていく。
ひたすら眼前の叫び声を上げながら逃げる生きた肉体を追いかけ刻み続ける。
目の前の人物は政治で汚職に関わっていたらしい、まぁ俺には関係ないが……
俺は依頼を来なしていくだけだ。
ただ淡々と無感情に
断末魔も命乞いも軽く聞き流し刻んでいく。
血飛沫が上がりやがて動かなくなる、生きた肉体から死体に様変わりしてようやく仕事を終えたことになる。
「はぁっ終わった」
と息を下ろし気を抜いた瞬間背後から物音がした。
ふと物音がした方を見ると一人の薄汚れた服を着て珍しい群青色の髪をした少年が立っていた。
叫ばれるのはめんどくさいと思いその少年向かって駆け寄りナイフを突き立てようとする。
しかしその少年は命乞いをするでもなく叫び声を上げるでもない。
ただその瞳には怯えという感情が全く無くただ一言
「君はこの世界に必要とされてるかい?」
「はぁ!?」
急に子供とは思えない大人びた口調で話し出したので一瞬だが動揺してしまう。
「君を必要としてくれる人などこの世にはいないかもしれない」
と冷酷にしかし現実を突き付けてくる。
「……そんなもんはとうの昔から知ってるさ」
子供はニヤニヤ笑うばかりだ。
「だから、俺は殺人鬼となり自分を肯定しているんだ」
「そんなものでしか自分を肯定できないなんて悲しいね」
「あ?」
「僕なら君を本当の意味で肯定させてあげられるよ」
「何言って……」
言いかけて気づく。
いつの間にか辺りには白いモヤがかかり始めていた。
そして一瞬で昼が夜に変わり場所も路地裏から何もない空間に変わる。
明らかに時間という概念を無視している。
「ようこそ、ここは神の間、文字通り神がいる所だ」
「何言ってんだお前、神ってあの神様か?」
「そうだよ、僕が神様だ」
「ハッ有り得ねぇだろ……と言いたいけれどあながち嘘ってわけでもなさそうだな」
「へぇ、信じてくれるんだ、意外だな、普通は信じないんだけどね、こんなこと子供の戯言としか思わないんだけど」
「……お前が神かどうかなんて知らないしどうでもいい、だがこんなことできる奴は普通じゃない……」
時間という概念を無視できる奴は本当に神くらいだろう。
完全に格上相手だと俺の本能が告げている。
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