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柚依もそれは気になっていた。子供達の話を聞く限り、奥村高嶺という人物は遊びの最中に1人違う所に行ってしまうようには思えなかった。薫と竜の様子からしても、普段は急にいなくなるような子ではないと推測できる。
「んー…あ!姉ちゃん、高嶺はこの先にあるトイレに行ったのかも!!」
薫に引っ張られて散策コースの案内板がある所まで行くと、その案内板には道の先にトイレがあることが記されていた。散策コースは林に囲まれていて、山の周囲をぐるりと1週する道と、頂上へ向かう道とで2本ある。山の周囲を回る道にはトイレはないが、頂上へ向かう道の途中にはトイレがある。広場からだと確かにこの先のトイレに向かうのが1番近かった。
「うん、そうかもしれないねー」
「頂上へ行くなんて高嶺君はよっぽどトイレに行きたかったんでしょうね!」
「だな!おれだったら我慢しちゃうな」
「僕も同じ意見です」
「…それってどういうことー?」
竜と薫の会話に違和感がして、柚依は思わず聞いてしまう。それではまるで頂上に行くのが嫌みたいだ。
「どういうって…お姉さんは知らないんですか?頂上にある廃墟の話を…」
「廃墟?」
「そこには幽霊が出るって噂なんだぜ」
幽霊という単語に柚依はゆっくりと瞬きをした。子供の間では怪談話でも広がっているのだろうか?
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